近年、アジアのヘッジファンドは香港がシンガポールと東京を押さえてアジアのヘッジファンドのハブとなっていますが、2012年末から2013年に掛けて急激に東京が香港を追い上げていると言えます。
2000年以降、香港当局のヘッジファンドに対する規制緩和政策が大きく寄与し、2009年3月末の香港に於けるヘッジファンド運用会社数は542社で純資産総額は約553億ドルに達しています。
その様な香港のヘッジファンド躍進の理由は香港証券先物取引委員会(SFC)が2002年に世界で初めて個人に対するヘッジファンドの販売を認め、2005年にはヘッジファンド運用担当者の運用経験要件の緩和やヘッジファンドの最低投資金額の引下げに踏み切ったからです。
更に、2010年1月に「ジョージ・ソロス」の「ソロス・ファンド」がアジアに於ける新事務所を香港に設立し、2011年3月には「ジョン・ポールソン」の「ポールソン&カンパニー」が香港証券先物取引委員会(SFC)に株式・債券・ファンド等に投資出来る免許を申請し免許を取得したことが業界の話題となりました。
2010年に香港・東京・シンガポールなどのアジアに拠点を置くヘッジファンドは下記の通りです。
ヘッジファンド名 | 所在地 (Alpha 2010 Asia Hedge Fund 20) | 資産総額 (1ドル=80円) |
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バリュー・パートナーズ | 香港 | 4,560億円 |
スパークス・グループ | 東京 | 4,140億円 |
アルサルグ・パートナーズ | シンガポール | 2,300億円 |
ヒルハウス・キャピタルM | 北京 | 2,000億円 |
ベイビュー・アセットM | 東京 | 1,680億円 |
ターゲット・アセットM | シンガポール | 1,600億円 |
APSアセットM | シンガポール | 1,360億円 |
アジア・デットM香港 | 香港 | 1,360億円 |
アートレイディスF・M | シンガポール | 1,100億円 |
パシフィック・アライアンスIM | 香港 | 1,080億円 |
アルスリング・アナルティクス | シンガポール | 960億円 |
リム・アドバイザーズ | 香港 | 770億円 |
ワード・フェリーM | 香港 | 680億円 |
HTキャピタルM | 香港 | 530億円 |
アルギル・ストリートM | 香港 | 520億円 |
インカム・パートナーズAM | 香港 | 520億円 |
グリーンウッズAM | 北京 | 480億円 |
タワーIM | 東京 | 460億円 |
UGIアドバイザーズ | シンガポール | 430億円 |
飛鳥アセットM | 東京 | 420億円 |
上記のアジアヘッジファンドトップ20を見ますと日系は4社に対して香港系は8社でシンガポール系は6社と、今やアジア市場のヘッジファンドの中心は香港とシンガポールであることが解ります。また、中国のファンド2社が2010年に初めてトップ20入りしたのも時代の流れと言えます。今後、東京の巻き返しと共に、中国籍のヘッジファンドの台頭が予想されます。